認知症の方々へのケア

光の苑が目指す認知症の方へのケア

認知症があっても自分らしく生きることができます

大切な家族が、ある日認知症となったら・・・。あるいは、自分自身が認知症となったら・・・。 「死んでも認知症にだけはなりたくない」そんな言葉を耳にすることがあります。なぜ、認知症になることは死よりも恐ろしいことなのでしょうか。 


46歳で認知症と診断されたオーストラリアの女性、クリスティーン・ブライデンさんは、当時をふりかえって、「恐れと不安にみちた大変な4ヶ月を過ごしてきた。・・・アルツハイマー病ではないと必死で思い続けていたかった」とその著書で語っています(『私は誰になっていくの? アルツハイマー病者からみた世界』C・ブライデン クリエイツかもがわ社)。 


確かに認知症になるということは、今までの人生をひっくり返すような恐怖が伴うことでしょう。しかしクリスティーンは、その後、さまざまな人の支え、特に夫のポールの支えにより、認知症とダンスを踊るように、毎日を前向きに生きることにした、と語っています。


周囲の人々が認知症を理解し、認知症を抱えながらもクリスティーンらしく生きることを尊重するならば、彼女も前向きに生きられるようになったのです。周囲のかかわり方で、認知症の方やその方の家族が希望を持ち、生きる喜びを再び得ることが十分できるのではないでしょうか。 


私たちは、クリスティーンの思いや声をよく聴き、認知症の方のなかで一体何が起きていて、どんなことに不自由さを感じ、苦しんでいるのかを理解しようと努めてきました。認知症のケアのカギになる光が、ご本人の声にこそあると信じているからです。そのことをよく表しているのが、『痴呆を生きるということ』『認知症とは何か』(小澤勲著 岩波新書)です。


私たちは、この本を丁寧に何度も読み解きながら、日々ケアにあたっています。認知症であっても、希望や喜びを持ちながら一日一日を過ごせるような、そんな光の苑でありたいと願っています。

認知症は脳の病気です。

認知症の病理については、いまやたくさんの文献やマスコミでも取り上げられており、手軽に情報をとることができるようになりました。